写真家 茂手木秀行
カラーだけでなくモノクロ作品にも積極的に取り組む茂手木さん。デジタルカメラによる撮影が多かったが、Intuos3を使うようになって、ゴミが付着しやすいフィルムでの作品づくりも苦にはならなくなったという。
会社の仕事と区別するため、個人の作品づくりは自宅にて。Intuos3の広告写真のようにペンを持っておどける茂手木さん。
マウス歴17年を覆す、Intuos3の操作性

 茂手木秀行さんは、マガジンハウスに務め、同社発行の雑誌『POPEYE』のスタッフカメラマンとして活躍する一方、積極的に個人の作品発表を行ったり、デジタルフォトのセミナーの講師なども行ったりしています。
 実は、茂手木さんは、デジタルでの撮影や画像処理を始めた1990年からつい最近までずっとマウス派。Intuosを手にしたのは2006年の年末頃のことだそうですから、17年のマウス歴に対して、ペンタブレット歴はわずか半年。それでも、茂手木さんにとっては、「今や絶対に手放すことのできない、便利な道具になった」 と言います。Inutos3で便利さを知った茂手木さんは、携帯用にA5サイズをもうひとつ購入してしまったほど。Intuos3の何が茂手木さんを虜にしたのでしょう?

フォトグラファーなら、ゴミ取りだけでも買う価値あり

 実は茂手木さんが悩んでいたのが、デジタルカメラの撮像素子やフィルムに付いたゴミを取る作業。PhotoshopCSからは、クリックするだけでゴミが取れる「スポット修復ブラシツール」が加わって操作は簡単になったものの、やはりルーティン作業で面倒だと感じていたそうです。というのも、スポット修復ブラシツールのサイズをゴミの大きさに合わせないと、ゴミが効果的に取れないのですが、そのために逐一ブラシサイズを変える必要があるからです。特にこれが面倒な作業だとか。
 「そんなとき、思いついたのが筆圧です。ずっと前からIntuosなど、ワコムのペンタブレットの筆圧コントロールには興味を持っていたのですが、絵を描くためのものだと思っていました。しかし、筆圧はスポット修復ブラシツールに応用できるのではないかと、店頭やあちこちのセミナー会場で試してみたら、いけそうだと感じました。それで購入を決めました。」
 実際に使い始めて、まだ半年程度のIntuos3ですが、茂手木さんは、使うたびにその便利さを実感しています。
 「ペンタブレットの感覚に慣れるまで1週間ほどかかりましたが、それでも筆圧の便利さは予想以上でしたね。実際にゴミ取りをしてみたら、もうこれしかない、と思いました。スポット修復ブラシツールの設定で筆圧をブラシサイズに対応させます。あとは、ゴミの大きさに合わせて、クリックに強弱をつけるだけ。他の操作は必要ありません。その結果、ゴミ取り作業の時間は圧倒的に短くなりました。きちんと時間は計っていませんが、感覚的に5倍くらい速いと思います。マウスでゴミ取りをしていた頃は、本当にイヤでイヤで仕方のない作業だったのですが、Intuos3に変えてからは、スピーディーかつ軽快な作業に変わりました。僕は、デジタルカメラでの撮影が多いのですが、時々フィルムも使います。ただ、フィルムのゴミはデジタルとは比べものにならないほど多いんです。だから、フィルムでの作品づくりはためらうこともあったのですが、Intuos3を使えばゴミ取りも苦になりません。フィルムでの作品作りも積極的になりましたね。そういう意味でIntuos3は表現の幅を広げることにも役だってくれています。」


Photoshop を使う茂手木さんの操作は素早い。マウスでもテキパキと操作するが、Intuos3を使い始めたことで、茂手木さん自身の処理速度もアップしたようだ。
 


スポット修復ブラシツールを使い、クリック一つでゴミを消していく。ここでは、クリックの強弱によってブラシサイズの大小をコントロールする筆圧感知が大いに役立っている。

茂手木さん独特のブラシツールの設定が精度の高いマスクを生む

 茂手木さんの写真には、マスク処理などレタッチされたものも数多くあります。ストレートに再現するだけでなく、そこに作家としての「思い」を表現として加えるのが、茂手木さんの流儀。だからこそ、画像編集や加工がしやすいPhotoshopを使いこなし、Intuos3を使う前から、パスや選択範囲、マスクを多用してきました。そういった機能もIntuos3によってずいぶんと使い方が変わってきたそうです。
 「特に作業の効率がよくなったのが、ブラシツールによるマスクの作成ですね。圧倒的に作業時間が短くなっています。ブラシツールの設定そのものが、マウスとInutos3では変わりました。マウスの時は、被写体を上手になぞるのが難しかったので、ブラシツールの「硬さ」を「0%」にして、ボケを最大に効かせていました。ところが、Intuos3ではブラシツールを使うときは「硬さ」を「100%」としてボケのない、シャープなエッジで作業しています。その方が、被写体をきれいになぞることができるし、ブラシの太さも筆圧で変えることができるので、精度の高いマスクができるからです。ぼかしは、最後にぼかしフィルタでマスクそのものをぼかせばいいですし、その強さも「フェード」で調整すれば問題ありません。」
 なるほど…。このような使い方は茂手木さん独特と言ってもいいかもしれません。皆さんにとっても参考になるのではないでしょうか。


マスク作成にブラシツールを使う際は、オプション設定の「硬さ」を「100%にして、ボケのない状態で作業をする。その方が、より精度の高いマスクを作成できるという。ボケが必要なら、マスクそのものをぼかしフィルタでぼかしせばいい。

作業をスピードアップし、ゆとりをもたらすIntuos3

 写真のレタッチ作業では、選択範囲の作成は頻繁に行われ、選択範囲やマスクの使い勝手や出来・不出来が作品のクオリティも左右します。そこで、どれだけ効率よく用途に合った選択範囲を作成できるかが重要になってくるわけです。茂手木さんは、ブラシツール以外にも、Intuos3を使い始めたことで、今まで使わなかった機能も使うようになったとか。おかげで、選択範囲を作成する手段が増え、作品づくりの効率もアップしました。
 「自由な形で選択範囲を作成する”投げなわツール”は全く使ったことがありませんでした。マウスでは思うように選択範囲を作成できなかったからですが、Intuos3を使い始めてからはよく利用するようになりました。マスクを細かく編集しなくてもいいようなアバウトな選択範囲を作成するときは、投げなわツールのほうが、作業時間が短く済むし、もってこいです。”多角形選択ツール”もIntuos3のほうがうまく選択範囲を作れますし、パスを作成する”ペンツール”もIntuos3のほうが使いやすく感じますね。スポット修復ブラシツールではうまく処理できない場合は、”コピースタンプツール”を使いますが、やはり筆圧でブラシサイズをコントロールできるので重宝しています。」


ペンの上下のボタンには、それぞれspaceキーとctrlキーを割り当てている。spaceキーは画像をドラッグするため、ctrlキーはブラシツールの使用中、サイズを変える際のショートカットメニューを呼び出すためだ。また、エクスプレスパッドの一部にはretrun(enter)キーを割り当て、たびたび行うファイル保存時の「OK」を手元で行えるようにしている。