東京生まれ。立教大学在籍中より写真家を志す。1995年KODAKフォトサロンにて個展を開催。広告電通賞部門賞のほか、朝日広告賞、年間日本の広告写真優秀賞、ADC賞など数々の賞を受賞。株式会社資生堂宣伝制作部を経て2006年よりフリーで活躍中。
- Intuos3 PTZ-631W
- 2001年〜
- フィルムスキャン後のゴミ取り作業で当時のマウスは思い通りの位置にポイントできず、ミスも多かった。そのときにペンタブレットを使ってみたら、失敗も少なく、思い通りにゴミが取れることに感動した。
(c)2007 Seiichi Nakamura All right reserved.
資生堂宣伝部で長年フォトグラファーを務め、2006年に独立した中村成一さん。資生堂時代から仕事として人物や化粧品など、ビューティー関連の写真撮影の傍ら、積極的に自らの作品制作にも取り組んできました。中村さんの写真は、透明感のある美しい色彩や、豊かなトーンが持ち味。作品は、もっぱらポジフィルムで撮影し、それをスキャンしてPhotoshopでゴミ取りやトーン調整を行っています。
写真の中村成一さん。取材は東京都文京区にある、自宅兼スタジオにて。広告電通賞部門賞のほか、朝日広告賞、年間日本の広告写真優秀賞、ADC賞などを受賞。資生堂のスタジオを模したという、自宅スタジオは高さ4.5メートル。たいていのものならここで撮影可能だ。
「賢治啄木記念館」のオープンを知らせるポスター。デザイナーとしても著名な中村成一さんのお父さんである中村誠さんが木を描き、中村成一さんが写真を撮って合成した。 Intuos3を使った初の合作でもある。
たくさんのデジタルカメラが出回る中、中村さんがフィルムにこだわるのは、やはりフィルムの持つ質感やトーンの豊かさを重視してのこと。様々な意見があるのを承知した上で、中村さんは「やはりデジタルよりフィルムが上」と感じている。
ここに掲載した作品も含め、一見すると、複数の写真を合成したような作風が多い中村さんの作品ですが、それらの多くは、ポジフィルムによる一発撮りの作品ばかり。撮影セットを巧みに工夫して、印象的な作品を撮り続けています。掲載の作品もアクリルケースに張った水を撮ったもの。フィルムはブローニーや4×5(しのご)といった中判以上のサイズを使って撮影。それを現像して、スキャンし、データ化します。現像のみ外注しますが、スキャンは高性能なスキャナを使用し、ご自身で行っている。
スキャンの段階で、まず必要な作業がゴミ取りである。フィルムの場合、どんなに環境やフィルムそのものをクリーンにしたとしても、どうしてもゴミが残る。「静電気の多い冬場などは、ゴミの多さにうんざりするほど…。」
中村さんもはじめはマウスを使ってゴミ取りをしていました。しかし、当時のマウスはローラー式であったために精度に問題があって、思い通りの位置にポイントできず、ミスも多かったそうです。ところが、ペンタブレットを使ってみると、「失敗も少なく、思い通りにゴミが取れることに感動」したとか。
ただ、最初に使ったペンタブレットは入力エリアがA6サイズで、小さく感じたために、すぐにA5サイズのIntuos2を導入。その後は、モニタがワイドになったのに合わせて、ペンタブレットもA5ワイド対応のIntuos3を使っている。
「4×5のフィルムをスキャンした場合、ゴミを取るために、1クリックでゴミが消えるPhotoshop CS2のスポット修復ブラシツールをメインに使います。だいたい100箇所くらいクリックするでしょうか。ペンタブレットでゴミ取りをするメリットは、ゴミを“ねらい打ち”できることなんです。マウスだと、ゴミのところまで何度もドラッグしなければなりませんが、ペンタブレットなら、ゴミを狙ってクリックすればいいだけです。この操作は、とても素早くそしてスマート。マウスとは比べものになりません。」
ここに掲載した作品のゴミ取り作業を行う中村さん。主に使う機能は、スポット修復ブラシツールやコピースタンプツールなど。使っているのは入力エリアがA5ワイドの、Inutos3 PTZ-631W。
「ゴミ取りの作業を効率よく行うには、ちょっとしたコツがあるんです。まず、スポット修復ブラシツールは筆圧に応じてブラシサイズが変わるように設定しておきます。これで、多少のゴミの大きさの違いに対応します。しかし、実際には、大きなゴミも小さなゴミも混在しています。そこで、最初は大きめのブラシサイズに設定して、大きなゴミを消します。次に、ブラシサイズを小さくして小さなゴミを消して行きます。こうすると効率がいいですし、作業にも集中できるんです。そうではなく、画面に見えているゴミに合わせて、ブラシサイズを逐一変えると、かえって作業が煩わしくなります。」
そう語る中村さんの作業を拝見していると、右手でペンを操作する傍ら、左手でIntuos3のエクスプレスパッドを操作して、画面を拡大・縮小したり、移動したりしている。
作業中は、必要に応じて画像の表示倍率を変更する。そのため中村さんの左手は常にエクスプレスパッドの上。
「Inutos3のいいところは、エクスプレスパッドで、拡大・縮小や画面のスクロールができること。最初は慣れなかったのですが、試しに使ってみると、これが便利なんです。もともと左手はPhotoshopのショートカットキーを押さえていましたが、それがエクスプレスパッドに変わったという感じ。ゴミ取りの作業は、100%か200%に拡大表示して行うのですが、上下のスクロール(トラックパッド)で表示倍率を瞬時に切り替えたり、またspace キーが割り当てられたファンクションキーを使って画面をスクロールしたりするなど、ゴミ取り作業をサポートする機能はとても重宝しています。 Intuos3の上だけで操作が完結するので、操作がスムースであると同時に、意識も途切れないんですね。」
中村さんは、モニタに合わせてInutos3もワイド版にしてから、その操作性は格段に良くなったと言う。ツールボックスからツールを選んだり、メニューを選んだりするとき、ワイド版だとモニタとの位置のずれが少ないので、より正確にクリックできるようになったとか。そして使っていくうちに、やがて自分の手の延長、あるいは思考の延長のように感じられるとの事。
「ゴミを消すにしても、それがゴミなのか画像なのかわからないとき、いったん作業を止めて、引いて(表示倍率を下げて)見たりすることができるようになったんです。マウスだと、作業をするだけで精一杯で、そんな余裕はなかなか生まれない。ところがIntuos3なら、作業そのものが軽快ですから、作業を止める余裕がある。そして、エクスプレスパッドで表示倍率を変えてゴミの状態を確認し、また作業に戻る。このような動作が、特に意識せずともシームレスにつながるんです。Intuos3は手を延長し、思考を延長する、そんな道具だと実感しています。」











