Intuos4

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株式会社トッパングラフィックコミュニケーションズ勤務、第二制作本部GA部プリマグラフィ チーフディレクター。1968年埼玉県生まれ。1987年、株式会社トッパンプロセス入社。Scitex社のワークステーションで画像処理作業を主に手がけ、1998年より、インクジェットを使ったアートプリント制作「プリマグラフィ」を担当、現在に至る。イラスト、写真、CGなど各クリエイターのプリント制作やインクジェットプリントセミナー、雑誌執筆などを手がける。

PTZ-930/G0
Scitex社の画像専用ワークステーション、Imager IIIを利用して画像処理を行うようになり、Imager(企)には、そのワークステーションの机そのものが画面と1:1のタブレットになっていた為ペンタブレットで画像処理を覚えてしまったということ。

(c)2008 小島勉 All right reserved.

http://www.toppan.co.jp/


凸版の小島さんと聞いてピンときた人は、かなりの写真通である。といっても小島さん自身が写真家だというわけではない。写真家の作品づくりを支えるプリティングディレクター、言わば写真家にとっては縁の下の力持ち的な存在だ。最近ではあちこちでインクジェットプリント出力に関するセミナーや講演の講師を務めることも多い。
小島さんの現在の肩書きは「(株)トッパングラフィックコミュニケーションズ 第二制作本部GA部プリマグラフィ チーフディレクター」。ずっと化粧品など広告関係の製版やレタッチの仕事をこなしてきた小島さんだが、今では写真家などアート作品を出力するための画作りや色作りをサポートする仕事が主だ。

書斎のような小島さんの作業スペース。
Intuos3をはじめ、トラックボールやモニタの高さなど随所に気を配っている。

このようなアートと技術をつなぐような仕事に就いた理由はと尋ねたら、「学生時代はCOBOLとかFORTLANを勉強していて、プログラマーになりたかった」という答えが返ってきた。学生時代、就職活動をしているとき、偶然会った卒業生の先輩に「印刷・製版会社だけどコンピュータを使って画像処理が画像合成をやっているんだよ」、「面白そうですね」と入社試験を受け採用となった。それがスタートだ。
とはいっても、すぐにデジタル画像処理の仕事に就いたわけではない。アナログのレタッチや製版スキャナー、後に述べるImager IIIのスキャニングの仕事などを経験する。そこでは「印刷での色や調子の再現を適切に行うための、あるいは後処理のしやすくするための画作り、データ作りの基礎や考え方を学びました」。その経験は今でもかなり活きているという。


やがて当時最先端と称されたScitex社の画像専用ワークステーション、Imager ・(レスポンスシステム)を利用して画像処理を行うようになる。Imager IIIには、そのワークステーションの机そのものが画面と1:1のタブレットになっており、また机の左側にはトラックボールもあった。
「Imager IIIはタブレットとトラックボールの両方を操作しなければ動かせない機械でしたが、トラックボールで画像を移動しながら、1:1のペンタブレットでゴミを消したり、肌を修正したりしていました。次に使ったのがPrismaxという専用機でしたが、これにはワコムさんのタブレットが付いていましたね。やがて、MacintoshやPhotoshopが高性能化、高機能化していき、専用機に取って代わり今に至るわけです。」

Intuos 3と同様に欠かせないのがトラックボール。
Intuos 3のペンを持ちながらトラックボールを操作し画像をドラッグする。

ということは、つまり小島さんはマウスではなくペンタブレットで画像処理を覚えてしまったということ。今でもそれほどマウスを使う頻度は多くないという。むしろ、画像処理の仕事で使う時はマウスだとストレスを感じるほどだとか。そして、意外にワコム製品との付き合いも長いことが発覚。もちろん今も…?
「もちろんIntuos3です。入力エリアがA4サイズのPTZ-930とケンジントンのトラックボールを使っています。トラックボールは左手で使うというのではなく、右手にペンを持ったまま、その中指や薬指でトラックボールを操作しています。左手は主にキーボードのショートカットですね。これが私のベストなオペレーションデバイス、オペレーション環境です。」


Photoshopを使い始めたのは調整レイヤーができたバージョン4くらいから。実際に仕事で使うようになったと言えるのはMacのパフォーマンスも上がってきた5.5くらいからでしょうか。今は、すべてMacで仕事しています。DTPなども含め、印刷・製版関連の機材もずいぶんとダウンサイジングしました。Mac1台でデザインから製版データまで作れてしまうわけですから驚異的です。これほどまで変わるとは昔は想像できなかったですね。


小島さんが行っているのは、最近では画像合成というよりも、写真をきれいにするという意味での修整=レタッチの仕事が多い。特に写真家やクライアントの要求する色味を出すのは難しい。そのような色を見る目というのは特別なものなのだろうか。
「レタッチしても自然な見え方がされるよう、割と普段の生活で光や色を気にしてはいますね。夏の青空、冬の青空の違いを気にしたり、夕日の色の違いを意識したり。それが、この写真を夏っぽくするにはどうすればいいかという答えにつながったりします。」
「それからカラーチャートはよく見ていました。これは色を見る、色を作る訓練になりました。たとえば、自分が欲しい肌色はどれくらいとチャート上で確認します。欲しい肌色に対して実際の色がずれていれば、チャートからたとえばシアンが多いからシアンを除けばいいと判断できるわけです。さすがに今は色の仕組みを理解しているので、チャートがなくても判断できますが。」


修業時代(!)には、必須とも言えるカラーチャート。CMYKの各%を段階的に変化させている。
このチャートを見て色を確認し、欲しい色に必要な色成分、不要な色成分を判断する。

色調整というと、モニタやプリントだけで色を確認したり、あるいはよくても現物を見て色を調整することが多いが、実際うまく行かないことも多い。特に印刷物で使われる画像データを扱う人は、チャートで色を確認するというクセを付けておいたほうがよいだろう。


「特にグレーを基準にしろと先輩に教わりました。特にCMYKでは全版が同じでもきれいなグレーになりません。Kをメインにするものの、C>M>Yという具合でなグレーを追求します。CMYKでは、シアンを下げれば茶色に、マゼンタを下げればグリーンに、黄色を下げれば紫っぽくなります。そういった関係を知るためにまずグレーを覚えることが先決だというわけです。色調整をする上では、このような色の理解は非常に重要です。」
小島さんが言うのはいわゆる補色の関係だが、さまざまなものが写り込んだ一般的な写真では、その効果を実感しにくい。ところが、余分な色を排除したグレーを用いると、その仕組みがよくわかる。Photoshopでなら簡単に補色の関係を知ることができるので試してみるといい。試すだけならCMYK全版が同じ%のグレーを作り、トーンカーブでチャンネルごとにカーブを上げ下げすれば、補色の関係を知ることができる。
「ただ、最近ではデジタルカメラの普及もあってRGBで入稿されることもあります。RGBではグレーはR/G/Bの値が同じであれば無彩色のグレーになるので、作業はしやすくなった面はありますね。」


さて、実際にレタッチを行いながら、小島さんのIntuos3の使いこなしを見させていただいた。
「やはりペンタブレットの良さは筆圧ですよね。あとはペン先とタブレットの摩擦等を含めた描き味。ポジや原画をスキャンした場合に入り込むゴミ、あるいは最近だと撮像素子に付着して写り込んだゴミなど、ゴミ取り作業は必須ですが、必要以上に修正を加えないよう作業するには筆圧に対応したペンタブレットがベストだと感じています。」
ゴミ取りは、画作りを行うための言わば下準備になるわけだが、それに時間を費やすよりも肝心の画作りに集中した方がいい。その意味でも「自分の感触や志向に合っていて、もっとも使いやすいのがIntuos3」だという。

インタビュー中に参考までにレタッチしてもらった画像。顔にかかる髪を消してもらった。
このような場合、サイズの大きなコピースタンプツールを使うと、不自然な結果になりやすい。
数ピクセルの小さなサイズに設定した「硬い」コピースタンプツールを利用するのがコツ。肌のテクスチャが保持される。


ペンタブレットやトラックボールにこだわるように、小島さんは「デバイス」にこだわる。その使いやすさこそが仕事の効率を高めるし、仕事の品質を高めると考えているからだ。いや、そんなもっともらしい建前の理由もあるが、根本的に使っていて疲れるようなデバイス、楽しくないデバイスであれば、クリエイティブな仕事などには利用できない(したくない)はずだ。Intuos3が支持される理由は、人の感性にフィットする、それが最大の理由だろう。ペン先を変えられるのもその1つ。小島さんもやはり使い分けている。
「画像の種類によってペン先の異なる2つのペンを使い分けています。イラストなどのハッキリしたマチエールのある画像に対しては摩擦係数の高いフェルト芯、写真などの微妙なトーンが必要とされる画像にはペン先が沈み込むリアルなブラシ感覚のストローク芯です。ペンに合わせてペン先の感触を変えています。」


画像の種類によって芯の異なる2つのペンを使い分ける。
左(赤)がフェルト芯、右(黄色)がストローク芯のペン。
Intuos3は、複数のペンを識別可能だからこそ、このような使い方も可能だ。

さらに、Intuos3の両脇にあるエクスプレスパッドも小島さんの感性を刺激した。常時ペンやトラックボールを操作する右側のエクスプレスパッドはさすがに使えないが、左側には、Photoshopのショートカット操作を効率よく行うためにカスタマイズがなされている。
「左側のエクスプレスパッドには、右手の余計な動きを少なくするため、ブラシ機能をメインにちょっと変わった割り当てをしています。ファンクションキーには「不透明度20%」やブラシサイズの大小を割り当て、トラックパッドには、ブラシの硬さを割り当てています。肌の修整をしたりするのに、ブラシツールやコピースタンプツールを多用するのですが、Intuos3のエクスプレスパッドのおかげで、設定の切り替えがとてもテンポよく行えるようになりました。」

フェルト芯ではペン先の感触を柔らかめに設定。一方、ストローク芯は、やや固めに設定。

エクスプレスパッドも小島流にカスタマイズ。
「不透明度20%」は小島さんが最も作業しやすいというブラシツールの不透明度。
その他、ブラシサイズの変更や、硬さの変更が割り当てられている。


作業環境へのこだわりは、これだけではない。モニタやinutos3、椅子の高さなど随所にこだるのが小島流だ。
「なるべく手の動きが大きくならないようにIntuos3やその他のデバイスをセッティングしています。平均すると一日10時間くらいは画面に向かっているので、ちょっとしたことでも腕や肩の疲労が軽減すると思います。Intuos3やタブレットの位置に気を遣うだけでなく、ペンやマウスを持ったときに肘の角度が90度くらいになるように椅子の高さを調整しています。またモニタの高さは、目の位置がモニタの上部から1/3程度にくるようにしています。あとはタブレットとキーボードを少しずらしておいて、command+s(保存)すぐ押せるようにしています。」
弘法筆を選ばず、とはよく引き合いに出される言葉だが、誰もが同じ結果を得やすいデジタルでは、それぞれの個性的な表現を得るために、個性的な作業環境が必要だということを小島さんは教えてくれる。私たちも、もっと遣いやすいIntuos 3の作業環境を追求すれば、さらなる表現力を得ることができるかもしれない。

Intuos3とキーボードの位置が少しずれているのがわかるだろうか。
このような細かな部分のフィッティングにこだわることが、作業の効率だけでなく、疲れにくさ、そして表現力の向上をもたらす。


小島さんは、凸版社内の仕事場だけでなく、原画(原本)を動かすことのできない場合などは、現地で仕事をすることもある。その場合、Mac、キャリブレーションモニタ、プリンタなどに加えて必ず持ち込むのが入力エリアがA4ワイドのPTZ-631Wだ。もちろんペンは2つ持参する。出先であっても、普段と同じ環境を再現できるのが重要だと言う。
さらに、冒頭、最近の小島さんは講演などの仕事も多い。その際、MacBookProと一緒にいつも持ち歩くのがBambooだ。
「ファンクションキーにMac OS Xのユニバーサルアクセスによる画面のズームを割り当てておき、デモ中、必要に応じて画面を拡大表示させるという。ボタン一発で操作できるので、キーボードで操作するより便利で重宝します。シンプルなデザインも気に入っています。」


セミナーなどで活躍するのがBamboo。
画像処理のデモを行うだけでなく、デモ中の画面を拡大・縮小させるための機能をファンクションキーに割り当てている。
スムーズなセミナー進行に一役買っている。


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